y 原発の安全性?

 武谷 日本でいま計画されているもの全部を考えると、分散しようとしまいと、もう日本全体としてはどうしようもないことになるでしょうね。温排水の問題は。だから原子力発電には温排水の問題という問題が一つある。それからこんどは、常時空気中にだす放射能、常時水の中にだす放射能、それから燃料棒のなかにたまってくる放射能・・・これはどうしたって、どうしようもないものですよね。だからこれは始末のしようが絶対にない、いまのところ。いまのところって、ここ一、二世紀は、ちょっとこれどうにも手の打ちようがないでしょうね。そういうのがどんどんたまってくる。それからこんどは事故時の問題についても、だれも何も見通しはない。これだけ見通しのないものをやるということですね。それから常時運転でも、環境が相当にいかれちゃう。

 藤本 いまの原子炉の例をとりますと、敦賀湾一帯とか福島とかああいうところには、べらぼうな量の、ほとんど二、〇〇〇万キロワットぐらいになるでしょう―をつくるわけですね。そうすると、そのつどそのつど、これ一台といってふやすわけですけれども、どなたの目で見ても、それだけつくれば、そこに燃料再処理工場はつくらにゃならない。それから廃棄物処理場ですね。そこからでてくる死の灰を、あんまり遠くへ持ち運べないので、そのへんで何とか始末をつけなければならないということは目に見えているにもかかわらず、それは一言もいわない。だから全体的なことを何もいわないでいて、これだけですというわけです。(武谷三男・藤本陽一対談「原子力の安全性」『現代技術の構造』所収・1975年刊)(11/04/20)