q 「願生」という生き方

 慶南さんの授業があった(12/01)。今年で三年目か、小生が担当している小さなクラスのことだ。「人権への視座」と題してもろもろの問題をテーマに悪戦苦闘してきた。もう二〇年をはるかに超えた。在日コリアンの二世である朴慶南さんに講師をお願いしてきました。本日も、元気印を絵に描いたような心意気で語ってくださった。終了後、新刊本を取り出された。『私たちは幸せになるために生まれてきた』(毎日新聞社、11年10月刊)。さっそく購入(現金正価で)し、一読、慶南さんの心臓の鼓動が伝わってきたと思った。永平寺が出している雑誌「傘松(さんしょう)に「願生」という欣求を一貫したテーマに連載されたものです。

 願生(がんしょう)とは、・・・。《私たちが生まれるとき、生まれる時代や国、地域、親、性別、容姿など、何ひとつ、自分で選ぶことはできません。また私たちは、自分の意志や決定によらないで生まれてきました。それならば、いっそのこと、「すべて、みずから願って生まれてきた」と腹を決めて、そこを人生のスタートラインにすることが「願生」の第一歩だといいます。/ 苦しくてもつらくても、自分の人生を正面から引き受ける決心をすることであります。自分を害したり、抑圧するものがあれば、それと向きあって状況を変えるように努力し、だれもが最良の自分を生きられるような世の中をめざすために、また生じる縁を善縁とするために、自ら進んで人生のスタートラインに立つこと、それが「願生」という仏教の教えだそうです》(と慶南さんに教えてくれたのは、永平寺の西田正法さんとい方) 

 慶南さんが列島の内外で出会われたたくさんの人々との対話から紡ぎ出された「ふれ合う心」が素直なことばにうつされて、その場面がありありと現前するような想いを抱かされました。その一人ひとりとの語らいについては、この本を読んでいただくほかありません。そのいずれもが「願生」という撓(たわ)まない覚悟を以て生きておられる方々でした。「人はみんな幸せになるために生まれてきたのだと思っています。自分がいちばん幸せを感じることをするべきではないでしょうか」と語られた河野義行さんのゆとりをもちながら、なお譲らず偽らない人生経験に裏打ちされた語から書名は生まれました。(11/12/03)

  この駄文を綴っていたら、以下のような記事が目に入りました。まさしく、「どんな人も幸せになるために生まれてきた」という思いに重なるような姿勢を貫かれようとされています。(合掌)

 「ひかりの輪」外部監査人に河野さん 松本サリン被害者 オウム真理教から派生した「ひかりの輪」(上祐史浩代表)の外部監査人に、1994年の松本サリン事件被害者の河野義行さん(61)が就任したことが3日、分かった。/ひかりの輪からの要請に応じたという。外部監査人は施設への立ち入りや幹部との面談などで活動をチェックし、必要に応じて指導、公表する。ほかに犯罪更生が専門の大学教授や修験道の指導者ら4人が決まっている。/河野さんは「施設近くの住民は今まで報道でなんとなく怖いと感じていたと思う。利害関係のない我々が施設内や関係資料を見たり、住民と一緒に中に入ったりして、本当に不安に思うことは何か、どうすれば不安を取り除けるか、明らかにしたい」と話している。(朝日新聞・11/12/03)