l 袴田事件の再審を

 袴田事件鑑定血液、被害者と別人か…弁護側 1966年に静岡県清水市(現・静岡市)でみそ会社専務一家4人が殺害された「袴田事件」第2次再審請求審のDNA鑑定で、住み込み従業員だった袴田巌死刑囚(75)が犯行時に着ていたとされる衣類の血痕について、弁護側鑑定が「被害者と異なるDNAの型が複数認められる」と指摘していることが明らかになった。 同鑑定は「被害者由来の血液は確認できなかった」とも分析。被害者の血液型と一致したものであっても、DNA型は一致しなかったと結論付けた。弁護団は22日、東京都内で記者会見を開き、「工作を疑わせる」と証拠 捏造 ( ねつぞう ) の可能性を強調した。 検察側鑑定は「被害者に由来したDNAである可能性を排除できない」と指摘したが、血液型に関して言及はなく、DNAが血液由来かどうかも「不明」とした。静岡地検の千葉雄一郎次席検事は「同一試料を使って、なぜ食い違いが生じたのかも含め、信用性について科学的な検討をしていきたい」と述べた。(読売新聞・11/12/23)

 袴田さんは死の恐怖と闘いながら、長期間の拘禁によって「精神に異常」を来したままの状態にあります。杜撰な捜査と拷問による自白の強要という、冤罪を生み出す典型例というほかない横暴な警察と検察の合作事件です。加えて、証拠品の捏造までもが出てきました。錦の御旗のようにDNA鑑定を振りかざせば、無理が通るとでも考えたわけではなさそうでしょうが、なにがなんでもひとりの人間を犯人に仕立て上げようという虚仮の一念が透けて見えます。菅谷さんの冤罪事件がその好例です。この事件で一審の陪席を占めた判事が「袴田さんは無罪」と退職後に告白しました。熊本典道氏。彼に関しては『裁かれるのは我なり』(山平重樹著、双葉社刊)、『美談の男』(尾形誠規著、鉄人社刊)が出版されています。担当裁判官が(被告の)「無罪」を主張するのはけっして熊本さんだけではありません。財田川事件でも退職後に弁護士として真相解明に執念を燃やした元裁判官がいました。

 再審請求は袴田さんの姉が引き受けて来られました。事件後45年が経過し、今さらのように冤罪の疑いが濃厚になったといっても、取りかえしのつかない大きな過ちを犯したと思われる司法権力は恬として恥じるところがないかのように振る舞っています。(11/12/25)