u 被告人を死刑に処す

毎日新聞(10/11/16)

  裁判員裁判が始まって一年有半が経過しました。このところ死刑を求める裁判が続いています。初めて求刑が死刑となった公判では無期懲役の判決が確定しましたが、同じ死刑求刑事件で判決も死刑という事案がでました(横浜地裁)。裁判長が「控訴してもいいんですよ」と異例の語りかけを被告人にしたという。この二件は事実認定を争ったものではありませんが、刑を下した裁判員の心中はいかばかりだったか。さらには鹿児島では事実認定が争われている殺人事件の裁判は評決に入っていますし(公判開始から判決言い渡しまで四十日かかるという)、北の地では少年が被告人として死刑を巡って裁判が開かれております。国民が国民に「死刑」を科する裁判をどのようにみたらいいのでしょうか。いまなお、裁判員裁判には違和感がぬぐいきれないのです。導入前に危惧されていた事態がそのままでさらに大きな課題としてわたしたちの眼前に生じているのです。死刑制度を温存したままの裁判員裁判、おそらくこのままで事なきを得ることはありそうにないと思われるし、場合によっては根本からの見直しが迫られるかもしれません。(10/11/23・記)