z 名張毒ぶどう酒事件

 4月5日付で最高裁第三小法廷は殺人罪などで死刑が確定している奥西勝死刑囚(84)の第七次再審請求特別抗告審で、「犯行に使われた毒物に疑問があり、審理をさらに尽くす必要あり」と名古屋高裁に審理差し戻しの決定を下した。

 事件は1961年3月、三重県名張市で発生。地域の公民館で開かれた懇親会で飲んだぶどう酒に農薬が入っていたために5人の女性が死亡、12人が中毒症状を起こした。事件直後に取り調べを受けた奥西勝さんが「妻と交際相手との三角関係を清算するため」(女性は二人とも死亡)と「自白」し、殺人および殺人未遂容疑で逮捕されました。

 公判開始後からは無罪を主張。一審の名古屋地裁は「自白の信用性を疑い」、無罪判決を言い渡す(64年)。ところが二審の名古屋高裁では「自白の信用性を認め」、一転して死刑判決(69年)。同一証拠に基づく判断が両極に分かれた。(どういうことだろうか、こんなことがあるのだ)

 一審判決後に釈放された奥西さんはわずか5年の自由の身の後にふたたび拘束された。死刑囚としてすでに40年余の時間が流れたことになります。名古屋高裁での審理開始がいつ開始されるのか、最高裁の決定にいささかの疑問をもつ。奥西さんに十分な時間が残されているとは思われません。(10/05/10)