z 公訴時効

 ●こうそ‐じこう【公訴時効】犯罪行為が終ってから一定の期間が経過することにより起訴が許されなくなること。●じ‐こう【時効】〔法〕一定の事実状態が長期間継続し、真実の法律関係を調査することも困難となり、また、たとえ調査できても、これに基づいて永続した状態を覆すことが不当だという場合に、真実の法律関係にかかわらず、永続した事実状態を合法化する制度。(広辞苑 第五版)

 時効の撤廃が実現されるという。この法改正に反対者はいないのだろうか。凶悪な事件を起こしながら、ついに逃げおおせた、そんな逃げ得は許せないという感情は誰にもある。人を理不尽に殺しておいて逃げ回り、挙げ句のはてに年金生活を送っている(国家が面倒を看る)という事例もあるかもしれない。被害者遺族の側にはそれなりに明確な意思がある。憎んでも憎みきれない犯人を草の根分けても捜し出す、何年かかっても探し出してほしいという、その思いを否定するのではない。

 ナチの戦争犯罪人追求の場合を持ち出して、時効撤廃に賛成する人も多い。国家、あるいは企業が犯した犯罪と個人が犯した犯罪は同じ基準ではかっていいのか。もし、時効撤廃賛成をいうなら、どうしてドイツではなく、日本国家のケースを持ち出さないのか。日本の場合、過去の戦禍に起因する国家責任における時効はすでに成立しているとでもいうのだろうか。国と国の間では決着がつけられたとしても。国家と個人の場合は事情はちがうというほかないだろう。さらにいえば、国家を構成しているのは個人なのだから、ここでもその責任は逃れられないだろう。(法律は恐ろしい)

 この問題はけっして単純ではない。国家が犯人を許さない、見逃さないというのと、被害者遺族が犯人を許さない、見逃さないというのは根っ子の部分で同一視できないのだ。これは死刑制度の存廃問題でも問われなければならない課題だと思う。要再考です。(10/03/18)