z 我は何の木春めけり

 すこしばかり年上の畏友から献本にあずかりました。『我は何の木』(10年05月刊、非売品)。木村聖哉さんです。中国大連の生まれ(1940年)。大学卒業後、いくつかの職に就かれましたが、ほどなくしてフリーのライターに。著書に『添田亞蝉坊・知道』 『竹中労・無頼の哀しみ』(単著)、 『むすびの家物語』 『往復書簡 全8巻』(共著)ほか。一貫して自立の精神を堅持されてきた方で、尊敬おく能わずというべき賢人です。俳人(号は閑居)でもあり、四十年に及ぼうかという句作の中から284句を精選されたものが本書です。句友に出された「句会案内」という時節や日常を書きこんだ文章も、人柄をはっきりと刻み込んだものとして読むのが楽しかった。

 閑居氏の最新の句をいくつか。ぼくにはことのほかしみじみとうなずけたものばかりです。

  春なかば言葉を生きる杖として

  春の雲希望は無きにしもあらず

  老いてなお完爾(かんじ)としだれざくらかな

 句心のいちじいるしく欠如した人間にも俳句のなにかを、いくばくかは分からせて貰いました。深謝。それにしても聖哉さん、よく歩かれますね。(2003年06月、脳梗塞に襲われました)(10/05/30)